ヨウジヤマモトは2021年春夏レディースコレクションのショーをパリで行い、その模様をデジタルで配信した。パリ・コレクションに参加する日本のブランドでは唯一、これまで通りに観客も入れたショーを開催。デザイナーの山本耀司やスタッフらも渡仏した。
会場は、パリ中心部に位置し、荘厳な内装でも知られるパリ市庁舎。いくつもの輝くシャンデリアが暗い照明の中で浮かび上がり、幻想的な雰囲気が伝わる。
作品の色は黒、そして白。ヨウジレッドと称されるやや深めの赤などカラフルな色が印象的なコレクションもこれまで何度もあったが、今回は黒がメインだった。かつて山本が「黒は光を吸収するから、布地の動きを表現しやすい」と話していた通り、今回はモデルの動きと共にしなやかに揺れるドレープやシルエットの優雅さが際立つコレクションだった。
ドレスは、肩から流した布が腰のあたりでゆったりとした結び目が作られたり、胸元で花びらのように布が垂れ下がったり。クラシックなドレスは、スカートの裾がぼろぼろに破れて、クリノリン(19世紀半ばに流行したスカートを膨らませるための下着の枠)の針金がはみだし、枯山水の美意識を感じさせた。背景には山本本人が歌うさびし気な曲が流れた。(編集委員・高橋牧子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル